今回は中国四川省の大足県内にある大足石窟へ行ってきました。大足石窟は9世紀から13世紀に造った約5万体の塑像が分布してあります。いくつかの石窟が保存状態良く残っていますが、なかでも北山、宝頂山の石窟はすばらしく、代表的な石刻彫塑として知られています。今回は大足に1泊することで素晴らしい石窟をゆっくり見ることができました。
1日目2007/11/22
中国四川省の大足県内に、9世紀から13世紀に造った約5万体の塑像が分布してある。大足石窟といわれ、なかでも北山、宝頂山の石窟はすばらしく、代表的な石刻彫塑として知られる。まず北山石窟へ。駐車場からゆっくり坂を30分くらいかけて登っていきます。
入場料はここ北山石窟と後から行く宝頂山石窟の二か所で170元でした。1元で約30円ですから、日本円で5000円以上・・安いのか?高いのか?現地の相場では?ですが、観光客料金ということで良しとしましょう。世界遺産の貴重な石窟ですし。
一つ一つの塑像がとても精巧に彫られています。塑像の表情も一つ一つ違う。大足石刻は素朴で野性的な味わいの中に奥深い趣を湛えていると言われています。塑像の1つ1つが力強い魅力にあふれ、彫塑家の優れたデザイン、工匠たちの熟練した技を体現しています。
北山石刻の中で、宋の時代の観音像は珍しい。中国の早期観音像は、一般的に男性の形象で、襟を正して端座し、荘厳で静粛な雰囲気を湛えているのに対し、唐の時代以後の塑像に属する北山の観音像は、女性の形象をとり、世俗的な人間美を湛えていると言われています。
北山の観音像は、女性の形象をとり、世俗的な人間美を湛えています。全身豪華な装飾で彩られ、頭には花の冠を戴き、上半身はやや露わに、胸には飾り房を下げ、腰は巻き衣、肘には衣帯をまとい、裸足で蓮の花の上に立っているます。衣帯が軽やかに風になびき、しなやかな姿態は妙齢の少女を思わせます。
ガイドの説明によると、ここ北山石窟の塑像はこの後訪れる宝頂山石窟の塑像と比べると、秀麗かつ精巧で生き生きとしているとのことです。石窟によっても塑像の表情が違うのはおもしろいですよね。次の見学地も楽しみです。そんなことを考えながら引き続き見学。
中国にはいくつもの石窟がありますが、中でももっとも中国らしさがあるのがここ大足石窟だと言われています。それというのも、大足石窟は他の石窟に比べて遅い時代に作られたものだからです。確かにとても古いようで歴史を感じますね。
もともとインドから伝わって来た仏教文化である石窟は、インドからの影響を強く受けていました。それが長年中国で作られている間に中国化していったです。この大足石窟では中国発祥の文化である儒教、道教の石像が多く残されています。
北山の石窟には1万体近い塑像が彫られているようで、すでに1000年以上の歴史をもつそうです。窟内の観音や菩薩は人間味あふれる親しみやすい表情で、普通ありがちな神秘的雰囲気はないとガイドが説明してくれました。確かにそういわれればそうかも。
宝頂山石窟の塑像は雄大な気勢と壮観さで知られています。大仏湾を中心に、長さ約500メートルの馬蹄形をした奥深い山洞に散在する石窟を見学。壁沿いに彫られた塑像を階段の上り下りしながら約2時間半の見学となりました。入場料は先ほど払ったのでスルー。
大足石窟は、深い山の奥にあるため交通が不便です。ですが、だからこそ人的破壊を逃れ、これほど多くの石像を残すことができたのです。 山の奥に隠れた宗教の世界へ行くと、世俗を離れた清い空気が残されています。他の中国の観光地と比べ厳かな雰囲気もあります。
最も注目される「釈迦涅槃聖跡図」は31メートルも長い涅槃仏が体を斜めにして横たわり、上半身は裸身で下半身は岩石の中に隠れ、ほとんど北崖全体を占めています。釈迦の表情は穏やかで慈愛に満ち、両眼をうっすら開き、円寂前の心境が余すところなく表現されています。
中国の早期観音像は、一般的に男性の形象で、襟を正して端座し、荘厳で静粛な雰囲気を湛えているのに対し、ここ大足石窟では女性のイメージした観音像が多いのが特徴です。その中にも男性象はやはり多いよう。写真の象は典型的は中国古典スタイルではないでしょうか。
大足石刻に含まれるのは北山、宝頂山、南山、石篆山、石門山の5カ所です。このように広い規模に優れた技術の彫り物が作られ、また中国の石窟芸術の中で大きな位置を占めているという理由から1999年、世界遺産に登録されました。石窟としては敦煌の莫石窟に続く2つめの登録です。
北山の石窟群を始めに作ったのは、大足付近をおさめる役人でした。唐の将軍だった彼は、自分が多くの殺生を犯したことを恐れ、石工などを集め、892年、北山の崖に毘沙門天や千手観音を彫らせました。これが大足石刻の始まりとなったのです。ガイドも優秀で詳細な説明を聞きながら大足石窟の見学を楽しむことができました。
旅のルート
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