スペイン北西部、ポルトガルの北に位置するガリシア地方。言語も文化もスペインともいえない、ポルトガルともいえない、でも二つの国が妙に混じった、そんなガリシアに以前から興味を抱いていました。今回思い切って行ってみようと決意したのは、どうしても世界遺産を見たくて(?)いやいや、やはり一番のお目当てはグルメ。ガリシアは海産物に恵まれ、料理も独特。ミシュランお勧めの一つ星レストラン三軒を中心に旅してきました。
Day 12014/09/16
マドリッドから国内線でまずはア・コルーニャへ。空港でレンタカーして、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(以下、サンティアゴ)を目指します。
高速を使って約40分で到着。世界遺産の旧市街地の中は車が簡単に入れないので、荷物を持ってホテル探し。
ホテルにチェックイン。いかにもガリシアの建物といったプチ・ホテルで、一階がカフェ・レストランになっています。サービスがとても良く、地元の食材を使った朝食もオーガニックでめちゃくちゃおいしく、このホテル超おススメです。
ホテルの朝食が美味しいのは、目の前が市場だから。チェックインしたときはもう閉まっていましたが、これが朝ともなると地元の人と観光客で一杯。その写真は以下で。
まずは今回の旅一軒目のミシュラン一つ星レストランへ。車でサンティアゴからア・コルーニャ方向にまた戻って約30分。カンブレという郊外の町にあります。その名もア・エスタシオン(駅)というレストラン。
その名のとおり、駅だったところを改装したレストラン。窓の外は未だに使われている線路が走っており、一時間に一本くらいの割合で、列車が通り過ぎていきます。もちろんこの駅(レストラン)には停まりませんが。
このレストラン、そしてこれから行くもう二つのレストランにも共通しているのは、メニューがお試しコースしかないこと。それから、懐石料理のように少量の料理が、長時間にわたっていくつもいくつも次から次へと出てくること。このレストランの場合は、全10皿、所要(賞味)時間約2時間半でした。
これが最後に出てきたデザート2皿のうちの一つ。ホワイトチョコレートのアイスクリームが、ガリシア特産の季節のフルーツと相まって、美味しかったです。
Day 22014/09/17
翌日朝。これが市場の朝の模様。もちろんメインの市場は右側の建物の中ですが、市場の外の通りまで出店が並んでいます。
市場の中ではゆでダコを売っていました。タコはガリシアの特産で、ゆでたり焼いたりしたタコ料理がいくつもありました。タコは肉厚で、とても美味しかったです。んー、日本人にとってはたまらない味。
さて、市場の後はサンティアゴ観光のハイライト、カテドラルを目指します。
ここがそのカテドラル。ファサードは残念ながら一部改修中でした。でも、改修中の部分を写真付きのカバーで覆うところが、何とも観光客思い?
丁度訪ねたときは、巡礼者を対象にしたミサの最中でした。そんでもってこのカテドラルのミサの一番の「見せ場」は、ミサの後半に大型の香炉「ボタフメイロ」を修道士たちが振り回すところ。
ちょっとやそっとな振り回し方でなく、天井に届くくらいめちゃくちゃワイルドな回し方をします。教会というと神聖な気分になる所ですが、教会に来てこれほどまでにエキサイトな気分になったのは生まれて初めてでした。
これがカテドラルの正面向かって右側にある入り口。
その対面には、今は神学校になっているサン・マルティン修道院があります。
カテドラルの裏手に回ると、そこはキンターナ広場。
この日は雨が降ったり止んだり。でも雨が何となく似合う街です。それもそのはず、ガリシアはスペインの中で最も降水量が多い地方の一つだそうです。
裏道が迷路のようになっている旧市街地は、ガリシア風出窓がついた石造りの家々が延々と続いています。世界遺産に登録されてるだけあって、重厚で落ち着いた伝統的な町並みです。
さてこの日の夕食は、「地球の歩き方」で紹介されているレストランへ。ところがこれが大失敗。レポートに値しないお店でした。ということで、明日のレストランに期待。
Day 32014/09/18
ガリシア滞在3日目は、「地の果て」を意味するスペイン最果ての地、フィステーラへ。サンティアゴから車を走らせて約一時間半。
大西洋に面した港町のその先に、灯台のある岬があります。
実はここは、巡礼路「カミーノ・デ・サンティアゴ」の最終地点。イメージ的にはカテドラルのあるサンティアゴが終点のように思いますが、ここ大西洋に面した岬が終点なのだそうです。ちゃんと巡礼路を示すホタテ貝マークの道標もありました。距離も最終地点の0kmになっています。巡礼者の人たちもたくさんいました。
大西洋を背に記念撮影。
それにしてもこの日は風が強くて強くて。上の写真では我慢して笑顔でしたが、顔面に吹き付けてくる風で我慢しないとこんな感じ。
この日の夜は「地球の歩き方」ではなく、「トリップ・アドバイザー」を参考に、現在サンティアゴのレストラン・ランキング第2位のお店へ。写真の料理はサテーではなく、ちゃんとした創作ガリシア料理。
いわゆるミシュラン星付き系のレストランではありませんでしたが、料理が凝っていて、なかなか美味しかったです。写真はガリシアのデザート「ビカ(Bica)」をキャラメリゼしたもの。卵をたっぷり使ってある、しっとりとしたシナモン風味のパウンドケーキで、イチゴのアイスクリームといっしょにいただきました。
Day 42014/09/19
さて、サンティアゴを後にして、いよいよ次の宿泊地カンバードスへ。その途中、リゾートとして有名なオ・グローベに立ち寄りました。この日は天候が悪く、写真を見てもさすがにリゾートといった雰囲気ではないですが。
オ・グローベの脇に小さな島、トロハ島があります。この島の観光名所がこの教会。
この教会がなぜ有名かというと、
ホタテ貝の殻で全体が覆われているからです。スペインのラホイ首相もここで結婚式を挙げたそうです。
まあここまでホタテ貝を見せつけられたら、やっぱ食してみないと、ということでオ・グローベのシーフードレストランで海の幸山盛りをオーダー。でも驚くことにホタテはありませんでした。もしかしてホタテは巡礼のシンボルだけに神聖で、地元では食べないのか?
カンバードスのホテルに到着。この日は市内観光はせず、ちょっと休んでから、今回の旅行で二件目のミシュラン星付きレストランへ。ああ、食べ歩きの旅は続く。
レストランはカンバードスから車で約20分。ポンテベドラに近いポイオという町にあります。
ここもメニューはお試しコースのみ。ただ、「松竹梅」のようにレベルが選べます。今日は昼に海の幸盛り合わせをたらふく食べてしまったので、「梅」で。といっても、全品15皿近く、賞味時間2時間半かかりました。
コース料理の中で一番圧倒されたのは、デザートで出てきたレストラン自慢のスフレ。普通のスフレと大違いで、言って見れば甘いトロトロのオムレツのような感じ。中にはバニラアイスクリームが入っていて、上にたっぷりとメレンゲがのっています。
でも、このレストランで一番「感銘」を受けたのは、オーナーシェフが、調理場だけではなくフロアーも取り仕切っていること。各々の客と自ら接して、例えば好き嫌いを聞いてメニューの内容に変更を加えたり、それぞれの料理に合うワインのオススメや、チーズトレーを目の前でサービングしてくれたりと。至れり尽くせり。最後のチョコレートも、キャンバスに絵を描くように目の前で「描いて」くれました。
Day 52014/09/20
この日はカンバードスからポンテベドラ回って、ア・コルーニャへ戻ります。まずは、カンバードスを離れる前に旧市街と海岸沿いをちょっとブラブラ。
カワイイ漁船が海岸沿いにちらほら。カンバードスは漁業で有名な港町であるとともに、「アルバリーニョ」という白ワインでも有名です。
旧市街は石畳の落ち着いた雰囲気で、そこを海岸沿いに歩いていくと、
石橋がかかった小さな出島に出ます。ここには廃墟となったサン・サデュルニーニョの塔があります。
この塔は18世紀まで物見台兼灯台として使われていたそうですが、その後使われなくなり、このような形になったそうです。
さて、カンバードスを後にしてポンテベドラを目指します。このあたりはリアス・バイシャ地方といって、その名の通りリアス式海岸で有名な場所です。くねくねした小さな湾がいくつもあり、そこに小さな港町が点在しています。
ここで有名なのは「オレオ」と呼ばれる穀倉。ガリシアやアストゥリアスではよく見かけますが、このコンバロには海沿いにかなりの数のオレオが群をなして並んでいます。
このオレオ群を目当てに、観光客がドッと押し寄せていました。それら観光客を目当てに、シーフードレストランもまたキノコのように至る所に。小さな港町も観光化の波には勝てないか?
さて、ポンテベドラへ移動し市内観光。
旧市街はサンティアゴと並ぶ石畳と石造りの建物で有名で、サンティアゴよりも「綺麗だ」と言う人も沢山いるそうです。
でもサンティアゴと違って、観光客や巡礼者は全くおらず、地元の人がカフェやバールで週末の静かな時間を過ごしていました。
結構歩き回ったので、広場にあるカフェで休憩。
トルティーヤとクリームコロッケをいただきました。このトルティーヤ結構デカかった。
さてさて、ポンテベドラ観光の後は、4日ぶりのア・コルーニャへ。車で走ること約1時間半。んー、今日は移動が激しい。
夜はこの旅最後になる、3軒目のミシュラン星付きレストランへ。
このお店ももちろんお試しコースのみ。今までで一番多い20皿で、賞味時間約3時間かかりました。
コースは魚貝類の料理を中心としたものでしたが、ちょっと味付けはきつめ。写真はトマトを「カキ氷」状にしたものに、海ぶどうなどを加えた不思議な食感のサラダ。
でも、デザートは非常に美味しかったです。写真はデザート3品のうちの一つ。金箔に包まれた「玉」の中身は、チョコレートやバニラといった様々なフレーバーのムース状のものが何層にも重なり合っており、一口で食べるとそれらのフレーバーが口の中で次から次へと広がる、摩訶不思議なデザート。
そんでもって、最後の締めはどーんとこのチョコレート・プレート。このレストランも、シェフが目の前でガラスのキャンバスに「描いて」くれます。このレストランでは、チョコレートと一緒に、マカロンやプチ・チーズケーキなども一緒に出てきました。
Day 62014/09/21
それらビル群を通った先の丘の上に、世界遺産の「ヘラクレスの塔」があります。世界遺産とは言うものの、別段特筆するような特徴はなく(スミマセン)、んーなぜゆえに世界遺産なのか?まあ、歴史的価値はあるのでしょうが。
でも、塔の上から見た景色は格別でした。これは東方向にア・コルーニャ市内を望んだもの。
これは西方向に。そういえばア・コルーニャの市街地の地形って、函館市のそれに極似してます。
市街地との反対側には、このようなのどかな風景が。ふと時計を見ると、もうそろそろ飛行機の時間。もっとこの風景を見ていたかったけど、泣く泣く大西洋の優雅な姿を背にして、マドリッドへの帰路についたのでした。
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