
神秘のベールを脱いだ!緑に飲み込まれた失われし漁村「後頭湾村」

中国上海郊外、東の沖合に浮かぶ嵊泗列島の東端、枸杞(クコ)島には、緑に飲み込まれたかのようなかつての漁村「後頭湾村」が存在します。一面緑に覆われた無人の村は圧倒的な静けさとノスタルジーでラピュタワールド全開です。
こんにちは、Compathy MagazineライターのMayumiです。
時代の流れとともに失われゆく里や村の風景はある意味自明の理。今回ご紹介する中国の小さな漁村もその一つ。主を失い廃墟となった村は10数年の時を経て神秘的な姿に生まれ変わり、今では観光スポットとして再び脚光を浴びています。そんな「後頭湾村」についてご紹介します。
失われしかつての漁村「后头湾(後頭湾)村」とは

Photo by Compathyログブック(旅行記)
■スポット情報:後頭湾村 所在地:中華人民共和国 浙江省 舟山市 ジョウ泗県 後頭湾村 Googleマップ:後頭湾村
繁栄から廃村・無人化までの変遷

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しかし急速な漁業の発展は、増え続ける人口をカバーできるだけの用地の限界と輸送における立地の不便さという問題をもたらします。
そして1990年代には当局の指導により住民を近隣の村に移住させ、2002年にとうとう完全無人化し正式な廃村として今に至ります。
なぜ建物が緑に飲み込まれたのか?

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嵊泗列島はちょうど鹿児島県屋久島とほぼ同緯度の位置にあり、亜熱帯性気候に属しモンスーンの影響を受けやすい地域です。地形的にも後頭湾村を囲むように背後に山がそびえ、海からの湿った風が山にぶつかり雨が降りやすい環境にあります。
そのため、人の管理が行き届かなくなった廃村は草木や苔の温床となり建物を飲み込んでいったのです。
忘れ去られた廃村が15年後、再び脚光を浴びたきっかけ
2015年頃、この村を訪れた中国の写真家「青简Jane」氏がSNS上に画像をアップ、その幻想的な美しさから瞬く間にネット上に拡散し、再び脚光を浴びることになります。現在中国国内では“中国でもっとも美しい無人の村”と讃えられ、中国各地から観光客が訪れるようになっています。
この「失われた村」は一面緑に覆われた廃墟、まさにラピュタワールド全開で、ジブリファンならずとも魅了されること間違いありません。
徐々に観光地化が進む現在

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ただの廃村が突然、島で一二を争う人気観光スポットとなったことで、早くも駐車場やチケットオフィス・展望台・商店などが設置されています。商機と見るやいなやこの観光開発の素早さは中国のすごいところです。
しかし長年放置され続けた村の家屋は老朽化が進み、窓が割れ、屋根や壁も崩壊し、草木がはびこり、道も未舗装と、およそ安全とはいいがたい状態です。
現在は景観の保護のため少しずつ修繕や維持管理が見直されているようですが、2017年10月現在ではまだまだといった感じです。観光の際はくれぐれも慎重に見学する必要があります。
後頭湾村の場所(Googleマップ)
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中国上海郊外、浙江省に属する嵊泗(ジョウシ)列島。その東端に位置する枸杞(クコ)島には、緑に飲み込まれた廃村が存在します。現在では、“中国でもっとも美しい無人村”として人気急上昇の観光スポットなんです。
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■ 緑の草木に飲み込まれた神秘の廃村「后头湾(後頭湾)村」

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おわりに

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東京から上海までは片道3時間程度、上海から後頭湾村のある枸杞島まではバスとフェリーを乗り継いで約6時間、頑張れば週末弾丸旅行も可能な距離です。枸杞島は夏はビーチもおすすめで、さらに漁業が盛んでムール貝養殖の産地でもあるので観光にグルメに楽しめます。是非気になったら訪れてみてくださいね。
ライター&Photo by:Mayumi