クック諸島ってどんな国?ホステルの管理人との会話から感じたこと

クック島に行ったのであれば、きれいな海でリゾート気分を味わうのももちろんOKです。しかしせっかく来たのであれば、1日はヒッチハイクや自転車で島を巡り、地元の人と触れ合ってみてはいかがでしょうか。

Compahty Magazineライター、阿佐智です。
クック諸島と聞いて、どんな国かすぐに言えますか? クック諸島の発見者であるキャプテン・クックの名は知っていても、場所を知っている人はなかなかいないでしょう。

首都のアバルアがあるラロトンガ島は、ニュージーランドの北東約3000キロに位置し、南北に長い領海はサモア、トンガ、キリバスなどの国々に囲まれています。

自由連合とは?

アバルア協会

首都アバルアの教会

クック諸島が日本の地図に現れたのは2011年。それまでは地図上に「ニュ」と示され、ニュージーランド領とされていました。しかし、これは日本政府の国家承認が遅れただけのことで、クック諸島の人もニュージーランド人も、とうの昔にこの国が独立したと認識しています。

ここは元々イギリス領だったのですが、イギリス政府がニュージーランドに管轄させ、やがて自治領となったニュージーランドがイギリスから少しずつ国家としての権限を手にし、事実上の独立国家になった流れでクック諸島もニュージーランド領になっていきました。

しかしニュージーランドとしては別にこの島をもっているメリットはなく、独立を促しました。しかしクック諸島は目立った産業もなく、国民の多くは国外に出稼ぎに行くといった状況。独立してしまうとニュージーランドのパスポートの恩恵を受けられなくなるなどのデメリットがありました。

一方でニュージーランドは、いつまでもコストのかかる海外領を持っていたくない…。そこで採用されたのが、「自由連合」という制度でした。

クック諸島の独立は1965年とされています。2015年には建国50周年が盛大に祝われました。しかし正確には1965年はニュージーランドから内政自治権を得た年。1965年にクック諸島は独自の議会、政府をもつことになりました。そして1973年に自由連合制を採用。これにより軍事、外交の最終的権限はニュージーランドに委ねるものの、クック諸島は、独自に諸外国と外交関係を結ぶことができるようになりました。

しかし国民はニュージーランド国籍を有し、パスポートもニュージーランドのもの。それゆえ、クック諸島の人々はニュージーランドへ自由に出稼ぎに行くことができます。現在でもクック諸島の人々はニュージーランドの国籍を有しながら、独自のアイデンティティのもと生活を送っているのです。

ホステルの管理人との会話から感じられる島民の生活

国旗

クック諸島国旗

今回筆者がラロトンガ島で宿泊したのは「プカプカ・ホステル」。いかにも南洋の孤島という感じのなんだかメルヘンチックな名前ですが、この国最北端に位置するプカプカ環礁の人々のための宿泊施設です。この環礁はサモアの近くにあります。島の言葉はサモアでは通じても、ラロトンガではほとんど通じないそうです。

コンテナ

ホステル前にあるプカプカ島のコンテナ

ホステルはアバルアの町の東端、島を一周するメインロードであるアラタプ・ロードから1本山手に入った、国立博物館・図書館のあるコンスティテューション通りに面した場所にあります。目の前には国立劇場があるので、場所はわかりやすいでしょう。このホステル周辺には同じような離島出身者のためのホステルが数件あります。

地元の人の話では、どこも1泊20NZ$(1600円)とのことです。リゾートアイランドのクック諸島では格安と言っていいでしょう。ただし、外国人ツーリストのための宿泊施設ではないのでサービスは期待できません。さらに言うと、空室があっても必ず泊まれるわけではありません。

例えば数日後に団体が入って来るような場合は、各部屋の掃除やマットやシーツを乾燥させる必要があるので、ツーリストに構っていられなくなることもあるのです。宿泊できるか否かは、管理人の判断によります。

ホステル

プカプカホステル

筆者が訪れた時のプカプカ・ホステルの管理人は、ポーおばさん。63歳になる彼女は元気いっぱいです。現在はニュージーランドから引きあげてきた息子一家もホステルに住み込んでいるとのこと。家族と一緒に昼食をごちそうになったときはホームステイしている気分になりました。

この国にも年金制度があるらしく、彼女は2週間ごとに250NZ$(2万円)、月で4万円ほどを受け取っているそうです。物価が日本並みのこの国では足りないのではないかと思いますが、彼女は「全然困らない。十分だ」と言います。

管理人としての報酬があるのかどうかは分かりませんが、確かに住居・光熱費などは事実上無料なので、毎日のんびり暮らすには、これでいいのかもしれません。

「この国では、誰も生活には困らないんだよ」と、ポーおばさんは言います。「プカプカでは現金をもらえる人なんてほとんどいないからね。公務員くらいだよ。他の人は芋を掘ったり、魚を捕まえたりして、それを売ればお金が手に入る。食べるものには困らないから欲しいものはちょっと稼いだお金で買えばいい。それに歳をとったら親戚が助けてくれるからね」

おばさんの息子夫婦には6人の子どもがいます。また、離島ごとにホステルがあるように、島の人々の絆は非常に強いです。現金収入が少なくても、恵まれた食糧環境と人の縁の強さによって、この小さな国の人々は、なんとなく安心して暮らしている感じがしました。

ポーおばさんは、若い頃はローンボールのナショナルチームのメンバーとして、遠征で様々な国を訪ねたことがあるそうです。

「サモア、トンガ…、近所の国にはほとんど行ったわ。スポーツ大会のときには、チャーターの直行便が出るのよ。コモンウェルス・ゲーム(旧イギリス領で構成される国家連合、コモンウェルス加盟国のスポーツ大会)では、インドやカナダにも行ったわよ。アメリカにも乗り換えで立ち寄ったわ」

南太平洋の島国の人々と言えば、生まれた島で一生を送るというイメージがありますが、そんなことはなく、意外と国際的なのです。現在クック諸島は出稼ぎに行った国民が返ってこず、国内の人口より国外に住んでいる人口の方が多いくらいです。様々な国へ行ったポーおばさんは、クック諸島が一番いいと言います。

「だって、この国には家がなくて困っているような人はいないもの。インドに行ったときは本当にびっくりしたわ。あそこはハイクラスの人たちはすごくお金持ちだけど、路上には家のない人が寝泊まりしていたわ。そんなところの人は本当にかわいそう」

せっかく来たのだから地元の人と触れ合おう

イメージ画像

海を眺めるライダー

私はこの旅でバスやタクシーを使うことはありませんでした。道を歩いていると車やバイクに乗った人から声をかけられることもしばしば。しかしいつもタイミングよく人に出会えることばかりではなく、炎天下ひたすら歩くということもありました。

しかしヒッチハイクをする度、出会った人々との話は本当にこの国を知るのに役立ちました。余生を過ごすアメリカ人、出稼ぎや留学でやってきたクック諸島の人と結婚して移住してきたニュージーランド人、ひと稼ぎを夢見てこの島にやってきた中国人やフィリピン人…。この太平洋の小島にも確実にグローバル化の波は押し寄せています。

きれいな海でリゾート気分を味わうのももちろんOKです。しかしせっかく来たのであれば、1日はヒッチハイクや自転車で島を巡り、地元の人と触れ合ってみてはいかがでしょうか。

ライター:阿佐智

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