ウクライナの華やかな町、リヴィウの悲しい歴史を知って 

今回はリヴィウで印象に残った博物館の一つ、「メモリアル博物館」(Prison on Lontskogo, National Museum and Memorial to the Victims of Occupation)を紹介します。

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こんにちは、Compathy Magazineライターの新田浩之です。
前回の記事では、ウクライナ語と謎の旗について書きました。今回は、リヴィウで印象に残った博物館の一つ、「メモリアル博物館」(Prison on Lontskogo, National Museum and Memorial to the Victims of Occupation)を紹介します。

アメリカ人旅行者に教えてもらった「メモリアル博物館」

朝からリヴィウ市内を歩き回り、疲れたので早めにホステルに戻ってドミトリー部屋に入ると、一人の男性旅行者に出会いました。彼は、アメリカから来て、私のように中欧・東欧諸国を周る予定だそうです。軽く挨拶を済ませ、そのあとはリヴィウ市内のオススメのスポットに関する話題で盛り上がりました。

話している中で、彼は「プリズンミュージアムがいいよ」と、しきりに言ってくるのです。手持ちのガイドブックで探しましたが、それらしき場所は見つかりませんでした。続いてインターネットで探してみると、刑務所を利用した博物館、メモリアル博物館がホステルの近くにあることが判明。さっそく彼がオススメしてくれたメモリアル博物館へ行くことにしました。

このメモリアル博物館はポーランド、ナチスドイツ、ソ連時代に使われた刑務所を利用しています。なんとソ連が崩壊するときまで、刑務所として使用されていました。館内は薄暗く、殺伐とした雰囲気が漂っています。一人でいると女性の博物館職員が声をかけてくれ、そのまま案内してもらうことに。

リヴィウはウクライナ独立運動の中心となり、ソ連、ナチスドイツに頑強に抵抗したのです。そのため、多くの政治犯が逮捕され、刑務所に収容され亡くなりました。もちろん、単なる「でっち上げ」で逮捕された方も大勢いたのです。

筆者撮影 ボタン 

筆者撮影 ボタン 

メモリアル博物館は2階立てになっています。まず1階から案内され、壁に付いてあるボタンから紹介されました。このボタンは壁に等間隔に並んでいます。これは囚人が逃亡や自殺を試みているのを看守が発見した際に、「異常」を知らせるためのボタンです。当時使われていたそのままの姿で保存されているので、恐怖感が伝わってきます。

筆者撮影 取調室

筆者撮影 取調室

次に、紹介されたのは一見、机と椅子だけの普通の部屋に見える取調室。ここで取調官が囚人を厳しく取り調べをしたのだそうです。犯行の内容はもちろんですが、何より取調官が知りたかった情報は協力者のリスト。囚人が協力者の名前を言うことを拒むと、恐ろしい拷問が待っています。

例えば、囚人は圧迫感を感じる防音室に入れられ、3日間ほど食事の提供をストップされたのだとか。もちろん、男性、女性関係なくです。きっと精神的に耐えられなくなり、亡くなった人々もたくさんいたことでしょう。

拷問はスターリン時代が最も酷なものでした。1956年の「スターリン批判」後、収容所の待遇は多少改善され、取り調べの際に弁護士がつくようになりました。ただ、収容所の基本的な性質は変わらなかったのです。この日の案内は時間の関係で、1階のみで終了しました。

翌日、メールでアポを取って、2階を案内してもらうことに。2階には華やかなソ連時代のポスターや写真が展示されていました。女性の博物館職員は「これはソ連時代のポスター、プロパガンダです。ここに書かれてあるのは全て嘘だったのです! ウクライナは長年、ソビエト連邦に占領されていました。1985年にゴルバチョフによってペレストロイカが行われ、1991年にようやくウクライナは独立したのです」と言いました。「しかし…」と彼女は言葉を続け、「ロシアはクリミアを占領し、東部ウクライナを攻めています。また、ロシアは私たちの国を攻めているのです」と言いました。ウクライナの歴史を語っているときの、彼女の無念そうな顔が、今でも印象に残っています。

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Hiroshi Nitta

Hiroshi Nitta

国鉄が民営化された年、1987年生まれ。神戸市在住。中東欧、ロシアを中心に民族問題や戦争の記憶に興味があります。趣味は鉄道(乗り鉄とダイヤ)と読書です。ロシア連邦全共和国を制覇することを夢見ています。ブログ:Tabi-PROG



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