ミスターリスクテイカー!すずきじゅんいち監督インタビュー<前編>

11月28日に公開が迫っている青年海外協力隊をテーマとした映画『クロスロード』。モロッコでおしりの肉をえぐられたり、アメリカでノリで会社設立したり、異色の経歴を持つすずき監督の濃い人生に迫ります。

こんにちは!Compathy Magazineライターの冒険女子アオノトモカです。

11月28日に公開が迫っている青年海外協力隊をテーマとした映画『クロスロード』。この映画で監督をつとめたすずきじゅんいち監督は、日本だけにとどまらずモロッコやアメリカなど世界中で活躍されてきました。まさに、失敗を恐れずに勝負をしかける勇気や実行力を持ったリスクテイカー! モロッコでおしりの肉をえぐられたり、アメリカでノリで会社設立したり、異色の経歴を持つすずき監督の濃い人生に迫ります。

筆者撮影

筆者撮影

ーすずきさん自身もモロッコで青年海外協力隊として活躍されていたと伺いましたが、どのようなきっかけで協力隊に参加したのですか?

協力隊のことを知ったのは、本当に偶然でした。映画監督としてすでに活動していた当時、陶芸家の寒河江英明氏と偶然知り合い、その方のお父さんがまさに青年海外協力隊の生みの親の一人と言われる寒河江善秋氏でした。それが協力隊について知るきっかけとなり、さらにアフリカの写真を見て協力隊への興味が深まったため参加しました。

Photo Credit: Shino Ichimiya 「Morocco - 日の没する地の王国」

Photo Credit: Shino Ichimiya「Morocco – 日の没する地の王国

ー私も元青年海外協力隊で様々なバックグラウンドの隊員に出会いましたが、さすがに映画監督の隊員には出会いませんでした(笑)。映画監督でありながら協力隊に参加するというのは、かなり珍しいと思うのですが、モロッコではどのような活動をされていたのですか?

避妊法の映画を製作するという要請でモロッコに渡りましたが、現地に着いてから母乳保育の映画製作へと変更になりました。カネもない、ヒトも動かない、機材も壊れている…という中での活動でしたが、ユニセフに企画書を出して予算を集め、前向きに活動していました。また、モロッコを含むアラブ諸国は砂漠の民の交易で成り立っているため「いかに相手を出し抜いて利益を上げるか」ということが重要視されます。「一生懸命やれば報われる」という日本の価値観とは大きく異なり、特にボランティアをする協力隊は「タダで利用されている愚か者」としてバカにされがちでした。そこで、協力隊の広報映画の製作にも取りかかろうとしていました。

Photo Credit: Kenta Nagato「全てが色鮮やか・・モロッコ一人旅」

Photo Credit: Kenta Nagato「全てが色鮮やか・・モロッコ一人旅

ー日本とは大きく価値観が違って面白いですね! 他にもモロッコでの経験について教えてください!

モロッコはとてもいい国でした。多くの途上国で独自の文化が失われて行く一方で、モロッコにはイスラム文化が色濃く残っています。食べ物もおいしかったです。
しかし現地でおしりにおできができてしまい、病院に行って手術することになったのですが、知らない間に全身麻酔を打たれ、目覚めたときにはおしりの肉をごっそりもっていかれていました。「おでき」と聞かされていたものが実は「痔瘻」で、しかも手術後の経過が思わしくなく、モロッコ内で様々な病院をまわりましたが、結局適切な治療を受けることができず…。やむを得ず任期を一年短縮して帰国し、日本で治療を受けることになりました。今でも完治はしておらず、ひどい状態はなくなりましたが、相変わらず苦労はしています。任期を短縮したため、映画製作の活動も終えることができず、私にとって協力隊は挫折の思い出でもあります。

ー現地でいきなり手術は恐ろしいですね!? ちなみに、現在は青年海外協力隊が現地で手術を受けるということは、緊急の場合を除いてほとんどないと思います…。さて、アメリカでもご活躍されていましたが、なぜアメリカへ行かれたのですか?

アメリカに行ったのは、なりゆきで、本当は南の島でのんびりと過ごそうとしたのですが…。再婚後にロサンゼルスへ移住し、そこで11年間暮らしました。アメリカでは、「茶の間フェスティバル」という映画祭に協力し、それが成功を納めたことがきっかけで、当時ソフトの輸出に力を入れはじめていたJETRO(日本貿易振興機構)から映画配給に関する相談を受けました。そこで世界的な映画祭の一つであるAmerican Film Market(AFM アメリカン・フィルム・マーケット)に出展をすすめる中で、自身でも映画配給会社を設立する流れとなり、株式会社イレブン・アーツを設立しました。

Photo Credit: 安田咲 「1泊2日☆LA満喫」

Photo Credit: 安田咲「1泊2日☆LA満喫

ー流れで会社設立!? 協力隊への参加もそうですが、人との出会いの中で運命に導かれるがまま人生を歩まれている印象を受けます。なかなか勇気がないとできないことですよね。ちなみにAFMでは世界中からバイヤーがやってくると思うのですが、そこでも価値観の違いは感じましたか?

AFMではバイヤーが映画を見ずにポスターのみで判断して、映画を買っていることに驚きました。今はインターネットがあるので事前にストーリーを調べることもできますが、当時一般のお客さんはポスターを見て映画を見るかどうか判断するんですよね。ですから、バイヤーも映画をポスター買いします。今までは映画監督として「いい映画を作れば売れる」と思っていましたが、映画を売る立場となって初めてポスターの重要性に気づきました。また、日本の映画は特殊すぎて海外で売るのはとても難しいです。ハリウッド映画のような万人ウケするテーマではなく、日本の映画はテーマが複雑になりがちなので。

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モロッコやアメリカで感じた価値観の違い、そして映画を創る立場と売る立場でのモノの見え方の違い…国際的に活躍されてきたからこそ、感じることだと思います。次回後編では映画『クロスロード』での監督の視点に迫ります!

ライター:アオノトモカ「冒険女子
Photo by: Shino Ichimiya 「Morocco – 日の没する地の王国

Tomoka Aono

Tomoka Aono

青年海外協力隊現役隊員として、フィリピンの田舎町で断水と停電に耐えながら日々たくましく生きてます。趣味は冒険と寺修行。モットーは「今を生きる」。最近の悩みは日焼けでフィリピン人より黒くなってしまったことです。



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