
世界一教育を受けるシンガポールの若者がコスプレを楽しむ3つの理由

シンガポールの若者がコスプレを楽しむ真の目的は何でしょうか。彼らが集まるサイトをチェックすると、「勉強社会のストレスのはけ口」「脱いだら現実に戻れる安心感」「アニメを学ぶことで外国語の勉強にもなるというお得感」など…?
こんにちは、Compathy MagazineライターのSeinaです。現在私は家族と一緒にシンガポールで暮らしています。最近、こんなニュースをみつけました。
「豪華客船でコスプレフェス開催へ シンガポールコスプレクラブが企画」
世界最大規模のクルーズ会社、ロイヤルカリビアンインターナショナル所有の豪華客船「マリナー・オブ・ザ・シーズ」の船上で、来年1月8日~11日、コスプレフェスティバルが開催されるそうです。
「シンガポールでコスプレ?」と、不思議に思うかもしれませんが、シンガポールではコスプレを趣味としている人のためのイベントが行われています。イベントでは若者たちがコスプレを楽しみ、たくさんのコスプレーヤーがお互いの衣装を褒め合って盛り上がります。
そのイベントが、とうとうクルーズを使って行われる大規模なイベントにまで成長しました。なぜ、シンガポールでのコスプレイベントはここまで成長できたのか。それはコスプレがシンガポールの一部の若者が求めるものをバランスよく持っていたからだと言えるでしょう。

Photo credit: Seina Morisako「Singapore days」
コスプレで叶える変身願望
シンガポールの若者がコスプレを楽しむ真の目的は何でしょうか。彼らが集まるサイトをチェックすると、「勉強社会のストレスのはけ口」「脱いだら現実に戻れる安心感」「アニメを学ぶことで外国語の勉強にもなるというお得感」などが、多くの支持を集めている理由になっているようでした。
シンガポールの若者たちが勉強する環境は「毎日が競争」です。ストレスが溜まるのも、無理はありません。たまには息抜きをしたい。しかし競争社会ゆえ、勉強自体をやめたいわけではない。そのような背景から、脱いだら元に戻れる「コスプレ」は、つかの間の変身願望として、とても都合がいいようです。
「外国語の勉強になる」というのも大きな魅力です。シンガポールのケーブルテレビでは基本的に日本のアニメーションは日本語音声、英語または中国語字幕で放送されることが多いです。大きな本屋には日本語の漫画もたくさん置いてあります。コスプレやアニメを愛するシンガポールの若者は、本当に流暢な日本語を話します。
去年、シンガポールでアニメフェスティバルが開催されました。多くのシンガポールコスプレイヤーが集結していましたが、日本とは明らかに違う「いくつかの特徴」に驚かされました。
シンガポールのアニメフェスティバルは「重ね着する人が多い」「露出は少なめ」「撮影者が少ない(自分が着て楽しむ人が多い)」という印象を受けたのです。私は東京で秋葉原や後楽園、そして京都の漫画美術館周辺などに行ったことがあります。そこには多くの日本のコスプレーヤーがいて、撮影するによってコスプレ作品を完成させるという目的を持っている人が多くいました。
しかし、シンガポールのコスプレーヤーは、撮影よりも今着ているこの瞬間を楽しむのが主流のようでした。

Photo credit: By mailer_diablo. (Own work.) [CC BY-SA 3.0 or GFDL], via Wikimedia Commons
本当に勉強するローカル校の学生たち
世界一の教育水準とも言われるシンガポールの学生たちは、日々猛烈なカリキュラムをこなします。東京23区ほどの大きさしかないシンガポールには資源がありません。「人材育成」が国益を左右します。そのためには公立校とはいえ常に競争原理を持ち込み、競わせる必要があるのです。
シンガポールのローカル校の学生たちが常に優秀なのは、このような競争環境にあります。彼らの勉強量は想像を絶するものがあります。例えば、インターナショナルバカロレア(IB)という国際学習基準があります。世界中にあるインターナショナルスクールの多くで、IBの高スコアを狙うために様々な教育が行われています。IBスコアだけをみるとシンガポールのインター校の上位校であっても、ローカル校の平均よりも低い成績しか出せません(シンガポールのインター校もとても優秀なんですよ…)。それだけローカル校の生徒は日々努力を続けているのです。
日々努力を続けている学生たちのストレス発散の場にもなっているコスプレ。次回のフェスティバルは豪華客船で行われます。きっと大盛り上がりのイベントになるでしょう。
ライター:Seina Morisako
Photo by: By Erwin Soo from Singapore, Singapore (aIMG_3310Uploaded by russavia) [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons
シンガポールの旅行記はこちら
*Seina Morisako「Singapore Days」
*Misa「食べ歩き in Singapore」