
書を捨てて、世界に出ることで気付いた「旅に出ることの重要性」

いつから旅を始めようと思ったのか、何がきっかけで旅を始めようと思ったのか。
皆さんは覚えているでしょうか?
旅にきっかけなんていらないのかもしれません。ただ、どんなことでも好きになる過程において大事なものは「始まりの点」なのかもしれません。
本から始まる旅もある
僕は本を読むのが好きです。数ある本の中でも旅の本が一番好きです。
沢木耕太郎さん、高橋歩さんや角幡唯介さん、石井光太さん…挙げればキリがないですが、皆さん旅人、探検家、ルポライターとして著名な方々の様々な旅にまつわる本を読んでいました。それに感化され「旅に出たい」と思った僕は、まず国内旅行から始めました。
その理由は、「日本人である自分が世界の人々に日本のことを説明出来ないのは情けない! それに、国内を旅してから世界に行ったほうが受ける心象も体感できることも違うだろう!」と思ったからです。
初めて世界へ
著者撮影
日本を周ったあと、初めて行った国はカンボジアでした。
カンボジアを選んだ理由は、「世界遺産のアンコールワットが見たい!」という気持ちがあったからです。 テレビ番組などでもアンコールワットは素晴らしいということを聞いていたので、ただそれだけが目当てでした。
しかし、ナイトマーケットで地元の人と行う値段交渉や、子供の想像以上の純粋な笑顔に出会うなど、アンコールワット意外の場面でも、様々なことを感じることができました。
そんな中、このカンボジアでの一番の衝撃は、あまりメジャーではないベンメリアという遺跡に行った時の事です。そこはまだ、完全に観光地化されていない遺跡で、現地の子供達に少しのお金を払ったり、何か物をあげるたりすると遺跡を案内してくれます。ガラガラに崩れた遺跡の中にある秘密の抜け道など、地元の子しか知らない所まで案内してくれるという、それはそれは楽しい場所だったのです。
ベンメリア、そこで見たもの
*Yu Inukai 「アンコールワットじゃものたりない!トゥクトゥクに乗ってベンメリア遺跡へ!
そこで見た光景がこの旅一番の衝撃になりました。
それは、ある観光客の親子連れが現地の子供にお金を渡す光景でした。なんてことのない、ありふれた光景。しかし、一点だけ違う点がありました。
それは観光客の子供とカンボジアの子供が笑いあってじゃれ合うのではなく、観光客の子供がお金を投げてカンボジアの子供に拾わせている風景でした。同い年くらいの子供達がそのようなやり取りをしているとは…。
僕はそれを見て怒りとか、その類のものを感じたのではありません。僕が感じたこと…。それは「自分は何も知らなかった」という、自分自身への憤りでした。
日本では旅番組、旅の記事などを読んでいて知った気になっていた自分。長らく自分は本当に何も知らなかったんだと心から痛感した経験でした。
現場で体感して、自分の目でみて、その場で感じないとわからないことがたくさんある。だからこそ、この世界を知るということは楽しいし、終わりはないと思います。そのことがあってから、僕の本当の旅が始まったのです。
旅をすることで何か変わるかと言われると、もしかしたら変われないのではと思います。そもそも旅にそのようなモノを求めることが野暮なのかもしれません。ただ一つだけ思うのは、「体験しながら未知の知識を探求できる」ということが、旅の本質だということです。
(ライター:石渡 航平)
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*Yu Inukai 「アンコールワットじゃものたりない!トゥクトゥクに乗ってベンメリア遺跡へ!